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2008年10月 6日 (月)

忘れないうちにゲキシネメタマクいっとこかー。

「鋼鉄の重低音」と「血塗られたマクベス」―。
「メタルマクベス」という響き、ボルトナットか?つうくらいにハマっていると思いませんか。

……って、実はシェイクスピアは子どもの頃、コドモ向けに易しく訳された本を読んだきりのワタクシ。
「マクベス」ってぇのは確か
「女の股から生まれた男はマクベスを倒せないが、帝王切開で生まれた男が現れてマクベスは倒されちゃう」
ってな話ですよねえ。(違うと思ふ。)
「おいおいそりゃなんだ!!子ども騙しか!」
……と、子どもだてらにその部分に激しく突っ込んだ記憶だけが鮮明に残っています。
そのように胡乱な記憶だけで鑑賞に挑んだワタクシに、爆笑メタル悲喜劇ながらもこれは間違いなく「マクベス」だったのではないかと、超感覚的に確信させてしまったクドカン氏の鮮やかな手腕やいかに。
ちなみにクドカン氏もシェイクスピアを読んだこと無かったそうで、それどころかメタル事情もよく知らなかったというのだから驚きです。

では「メタルマクベス」のストーリーをざっとご紹介しましょう。
繰り返される戦争で世は瓦礫の荒野と化した2206年、レスポール王国の無敵将軍ランダムスター(内野聖陽)が親友のエクスプローラー(橋本じゅん)と共に戦場から帰還する途中、荒野にて三人の奇怪な服装をした魔女(ミキハウスのトレーナーにケミカルウォッシュのジーパン姿の老婆達)と出会い、「マクベス、将来王になるお方」と呼び止められる。ってオレの名はランダムスターだしぃ、マクベスなんて人違いじゃないの?ダサいファッションの君たちぃ、と言ったところ、ランダムスターは魔女達から一枚のCDを渡される。
それは80年代に活躍したヘヴィ・メタルバンド「メタルマクベス」のアルバムだった。驚いた事にジャケット写真に写るバンドメンバーはランダムスター、エクスプローラーそして王の忠臣にしてレスポールJr.の教育係のグレコ(北村有起哉)、隣国のパール王(粟根まこと)に瓜二つなのだった。
夫にアヤシゲな「魔女の予言」があったことを知ったランダムスター夫人(松たかこ)は、今がチャンスだ!!とばかりに夫に向かって、レスポール王を「SATSUGAIせよ!!」(……)とそそのかす。
ランダムスターはそんな滅相も無い、と逃げ腰ながらも、結局はラブラブな妻に負け、自分を可愛がり信頼を寄せてくれていたレスポール王(上條恒彦)を無残にSATSUGAI(……)してしまう。そしてその罪を王の息子であるレスポールJr.(森山未來)の仕業に仕立て、ランダムスターとその妻は王座につくのだが、王殺害の真犯人に疑いを持つグレコは密かにレスポールJr.を隣国のパール王の元に逃がすのだった……。
伝説のメタルバンド「メタルマクベス」のメンバーと、戦国の未来に生きるランダムスターらの運命はシンクロしており、「メタルマクベス」の栄枯盛衰と交錯しながら未来のストーリーも展開して行く。

いずれの時代にも主人公が破滅して行く裏には女の存在が有り、勿論古典的な「親殺しの復讐劇」もベースにあるわけだからほら、結局ちゃんとシェイクスピアでマクベスっぽいと思いません?
「和製メタル」とギャグの相性の良さを存分に咀嚼しながらも音楽としてのヘヴィメタルのグレードを確保し、空間と時間を立体的に仕上げ、効果的で刺激的な映像ビジュアル、鋼鉄の艶かしさと脱力のトンマビジュアル(森山未来氏のバカ坊ちゃんとか、橋本じゅん氏演じるバンクォー橋本のキモチ悪ぅぅい半ケツ衣装とか、見事なリアル噴水ゲロとか……)を良い意味で過剰に混合して使いきれるクドカン氏はやっぱり奇才なのだろうと思いました。
もちろん、役者さんたちの器量も贅沢に使いこなしているわけで、マジメと不真面目の調合が緻密だからこそ笑いと戦慄のバランスも絶妙。

今回、内野氏に「男としての肉体的な強さと内面の弱さ情けなさのギャップが愛しい、フツウのへっぽこ男」を演じさせたのにもぐっと来ましたが、ランダムスター夫人を演じる松たか子嬢がまたキュートな顔してからにド迫力なのも見応えありました。テンション高めのコケティッシュな暴言夫人時代もさることながら、後半陥る狂気の世界も、どーやっても清潔なルックスの松さんが演じると、濁流を割る真っ白な水飛沫のような迫力があってすごいことすごいこと。
お二人のイチャイチャシーンにも、「もうこんなリアルにしちゃだめじゃーん」と、覗き見趣味的な醍醐味満載。
親兄弟上司同僚の前では男がゼッタイ見せないであろう情けない姿をカワイイ妻の前では簡単に晒してしまうランダムスター。
最愛の溺愛の愛妻(←劇中、ホントにそーいう感じなのよ)の言葉に翻弄され、そそのかされ、迷いながらも結局王を刺し殺してしまう内野ランダムスターは、見れば見るほど、
「ああもう、この弱い男めーーー!!!可愛いやつめっ!!」
と、私をグイグイと誘惑。
まあ「弱い男かわゆいー♪♪」とか甘ちょろいことを言ってる場合じゃないんですけども。
欲望と恐怖に支配されて、次々と殺人を重ねながらも罪の意識に苛まれて結局は破滅して行くこの夫婦はとても憐れで愛おしく、そしてそれは同時にとても恐ろしい姿なわけなのです。

「MMG(メタル・マクベス・グループ)」なるメタルバンド(マイケル・シェンカー・グループのパクリか??)の重低音でグイングインの演奏を生で体感出来たであろう、本公演を見逃してしまったことが今では悔やまれてなりませぬ。
そんな「見逃し上手」の為にかどうかは知りませんが、「ゲキ×シネ」なんて銘打って舞台作品を映画館で上映、なんて洒落たことをなさる劇団☆新感線は勇気があるというかやっぱりロックです。
舞台を見逃した身としては、巨大スクリーンにて音響、カメラワークともに拘りの舞台映像を観られるということは、実に有り難いことでございました。勿論、生の舞台が観れるに越したことはないのですけれどネ。

あんまり面白かったのでもっとネタバレしたいところなのですが、まだ映画を観られるところもありますので遅まきながらご紹介します。
関東では10月4日から10月17日まで舞浜のイクスピアリで上映しておりますし、その後は他の新感線作品のゲキ×シネが連続して上映予定ですので、ご興味のある方はリンクから日程をご確認くださいませ。

http://www.geki-cine.jp/schedule/index.html

それでは、ネタバレOK、
「そちがどんなにダラダラと長いことくだらないこと書いたとしても、わしには金は無いが読む暇ならいくらでもあるぞよ!!」
という方がいらっしゃいましたら、続きもどうぞ。

ツボその1:メタルと演歌の相性について
「メタルマクベス」って実は演歌専門のレーベルと契約しているのですが(……)。
そこの社長さんが定石どおり、自分の息子をメタマクとのコラボでデビューさせたい!!などと言い出すわけです。
勿論息子は演歌歌手を目指しており、コラボといいつつも息子がメインボーカル。
メタルマクベス側は大人の諸事情により渋々ながらも演歌とメタルのコラボを引き受けるのですが、メインボーカルの座を奪われたマクベス内野の見所は最早ここしかないやろ?という、ギターソロの場面で、あろうことか息子氏(さらさらキノコヘアでペコちゃんほっぺに扮した森山未來氏)がゴーインにギターソロを止めに入り、自分のタップダンスを披露するという……面白さ。
「メタルマクベス」のメンバーにとっては実にお気の毒な場面ですが、正直サウンドとしてはバッチリ合っているんですよねえ。
演歌とメタル。
ディストーション(エレキギターに繋ぐイコライザーの一種で歪んだ硬質音を演出)の泣きっぷりと演歌って意外と合うよなあ、と「いろはにそらしど」で思ったことが、今回の舞台ではよりゴージャスなメタルサウンドを得て、しかも森山氏のダンスパフォーマンスと共にスタイリッシュに再現されておりまして、やっぱ演歌とハードロックは相性が良いわな~、ということを再確認した次第です。
……筋金入りのメタル好きの人にとってはこの舞台でのからかわれ具合、笑えるのかどうか知りませんけども。

ツボその2:伝説のバンド『メタルマクベス』の楽曲センスに悶絶。
「リンスはお湯に溶かして使え」
「ダイエースプレー買うてこいや」
「あの娘のブーツは豚の耳の匂い」
中でも「リンス……」のフレイズはメタルにもマクベスにもぜんぜん関係無い様な有り様で、単なる70年代の家庭ノスタルジイなのに驚愕。映像にも風呂屋の映像とか出て来てそらもう脱力なんてものでは。
「ダイエースプレー」はそらハードロッカーの間では超有名ですよね。
ギグで全力ヘドバンしてりゃあ、可愛いあの娘のブーツも豚の耳の匂いにもなりましょうよ。
(って豚の耳ってどんな匂いなんだろう?)
ちなみに、「メタルマクベス」のメインボーカリスト「マクベス内野」氏のハードロッカーとしての歌唱力はまあ概ね皆様のご想像通りです。
シャウトはなかなかお上手でございました。
「寝ても覚めても俺は愛妻家~~~~!!!」とか絶叫するスゴい歌もあり、これも大好きです。男前過ぎるわこの歌詞。(ウットリ)

ツボその3:2206年の登場人物の名前ったら全部楽器か楽器メーカー。
エクスプローラーって擬人化するとこんなに濃いぃ?(橋本じゅん氏ぃ?)
素人目には似たような形なのにランダムスターはハンサム扱い、内野氏でおいしいとこかっさらってるのはやっぱりラウドネスの高崎氏が使用してたからなの??とか。
後半、「マクベス内野」の記憶とランダムスターとしての人生が脳内で混在しちゃったランダムスターが、自分を倒しに来たグレコ(80年代ではメタルマクベスのベーシスト、マクダフ北村っちゅう設定)に向かって、
「オマエは昔からそうだった。売れたらみっともないからギブソンフェンダーを買えって言ってるのにオマエは言う事聞かずにいつまでもグレコを使いやがって……」ってな感じのセリフを言う場面がありまして、客席に若い女性が多かったその日、80年代にガチでロック少女だったオバハンだけが一人でゲラゲラ笑ってました。
……ええ、皆さんはちっとも笑えないでしょ、ほんと。
おそらく笑えないと思って様々にリンク貼っておきました。
ちなみに隣国のパール王はタマ王じゃダメだったの?それって語感?とかもう、ほら皆さんをすっかり置いてけぼり。

ツボその4:伝説のお笑いメタルシンガー、冠くんのシャウト
伝令役の「冠くん」こと冠徹弥氏がレスポール王にベヴィメタ歌唱で戦況の伝令をするのですが、報告の語尾を毎度わざとらしく間違うんです。
「Go to hell!」が「Go to health!」になってたりとか、ヘルスがヘリになったりパリになったりと実ぅぅぅにくだらない。
くだらないんだけども、ついつい、
「……mmm間違えましたAAAHHHHHHHHHHHHH~~~~~~~!!!!!」
と、冠くんが絶叫する瞬間を心待ちにしてしまうんです。
実に見事なシャウト芸でこれだけでも聴く価値充分有りなんですの。

ツボその5:内野氏の滝汗
ええと、岡田准イチ氏系ハイパー美形男子やしっとりと美しい大人女性が主たる好餌の私の目にですね、
「40代大人男子の胸を滴る滝汗」がこんなに扇情的に映るものだとは思いもよりませんでした。
ええ、ただのオジサンじゃやっぱダメですよ。それなりに魅せるオジサンだから許せるのであって。
ちょっとだけイチロさんが羨ましくなりました。(あらまあ、下世話なこと言う子だよ、まったく。)
……しばしの間、夢が見れたというかなんといいますか。どんな夢ってそらエロい夢だよ!!

まあ、こんな按配でキリがないんですのよ、奥様。
グレコ/マクダフ北村役の北村有起哉さんのクールな狐面がなにゆえかすんごいセクシーだったり、上條恒彦様の圧倒的な歌唱力ですとか、バンクォー橋本氏の暑苦しい顔が既に芸、とミスマッチな妙につるんとしたお尻ですとか、森山未來氏が舞台の後半はずっとハゲヅラ状態で、あの「のらーん」としたフェレット的癒しフェイスが存分に楽しめなかったのはちと残念、等々。
ストーリー面でもマクベスの滅びのキーワードのメタ具合とか、ラストの爆発シーンでの兵器(核兵器?)の始末とか色々ね、もうちょっとじっくり検分したいのですけれども、今回は記憶が薄れて掘り下げるのはちょっとムリ!!という感じですの。

というわけで、もう一回観に行くか、もしくはDVDを買おうと真剣に考える今日この頃なのでした。
シンプルに言えば本当に面白い作品ですし、2500円で観られるのはお安いですので、ご興味のある方は是非ご覧になってみてくださいませね。(休日はかなり混んでると思いますが……)

そして本日ここまでうっかり読んでしまったアナタ、本当にお疲れ様でございました。そして有難う御座いました。
ついでにあんまりな駄文長文ぶりに今回は(は、ですか?)ガチで謝罪申し上げます。誠に申し訳ありません。
(謝罪するくらいなら記事にすんなー!!このヘッポコヤロウ~!!と最後に得意の自虐をやってみる。)

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